Japanese
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臨床研究
妊娠悪阻・妊娠腎・子宮頸管腟部癌及び乳癌における血清Plasmalogenに就いて
Serum plasmalogen level in hyperemesis and kidney of pregnancy as well as cervical cancer of uterus and mammary cancer
和田 伊宇子
1
Iuko Wada
1
1日本医科大学薬理学教室
pp.44-46
発行日 1959年1月10日
Published Date 1959/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201884
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緒言
PlasmalogenはFeulgen及びVoit1)が凍結細織切片にフクシン亜硫酸を作用させると原形質中にこのアルデヒド呈色反応を呈するものが証明されることを発見し,この反応を起す物質をPlasmal,その前階程のものをPlasmalogenと命名したものである。今日ではその化学的正体も明らかにされた。即ちPlasmalは高級脂肪酸アルデヒドで,このPlasmalがグリセリソ燐酸とその水酸基にアセタル様に結合したものは,Pla-smalogen酸と称されフォスファチド酸と近い関係にあることが明らかにされた。結局Plasmalo-genは一種のフォスファチドで唯々これと異りその分子中に含有される脂肪酸とエステル結合ではなく,アセタル様の結合によつているのである2)。
体内に於いて本物質が如何なる意義を有するものか尚明らかにされていないが,健康人の血清Plasmalogenは時間的(昼間高く夜間は低下)及び食餌による(蛋白脂肪食後上昇)変動を別とし大体3.9mg%前後に一定しており,性別及び年令による差はないが唯々婦人では月経時に僅かに増すといわれている。然し病的状態では屡々著明なる変化がみられ,例えば癌組織のミトコンドリアにはPlasmalogenが特に多く含まれており3),また癌患者の赤血球は健康人のよりPlas-malogen含量が高いことが報告されている。
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