原著
産婦人科領域の腟カンジダに関する研究(前編)
田谷 実
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科教室
pp.979-986
発行日 1955年12月10日
Published Date 1955/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201276
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緒論
Candida属は生物学的性状が酵母に類似する無胞子酵母の一種で,内生胞子(ascospore)を作らず,出芽のみによつて増殖し,時に擬似菌糸(pseudomycelium)を生じ,未だ有性生殖過程の明らかにされず不完全菌(fungi imperfecti)に属する。
Wilkinson(1840),Hausman(1875)は腟内に酵母様菌の存在し,腟炎の原因となることを記載したが,分類法はなかった。Castellani(1910)は糖分解能による分類法を試み,C.albicansが家兎に対し病原性を有することを証明し,Bland(1937),Hesseltine (1938)はC.albicansを妊婦・非妊婦の腟内に接種し,腟炎を形成せしめるに成功し,C.albicansの人体に対する病原性は明確となつた。Martin・Jones(1937)はCan-dida属の実際的な分類法を発表した。しかし,Candidaが臨床家の関心を喚起したのは抗生物質療法の登場以後のことである。
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