診療室
機能性子宮出血に對する混合ホルモンの試用成績
織田 明
1
1甲南病院産婦人科
pp.87-88
発行日 1954年2月10日
Published Date 1954/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200984
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男性ホルモンの婦人科的應用は歐米では屡々試みられている。その主要な疾患は出血性メトロパチー,更年期及び更年前期障碍,子宮内膜症,月經痛,子宮筋腫,乳汁分泌抑制,慢性乳腺炎,乳癌,性器癌などである。特に卵胞ホルモンの過剩産生のあるときは拮抗劑とし使用される,例えば卵胞ホルモン過剩産生或は卵胞存續の結果起る子宮内膜過度増殖による子宮出血等である。この際男性化,氣分の變化等の副作用はT.prop.300〜500mg以上で起り,200mg以下では起らないと云われている。元來Androgenは女性にも證明せられるし又卵胞ホルモンと黄體ホルモンとの中間的作用を有するとも云われる。今回Andro-genに少量のEstrogenを混合してAndrogen本來の作用に,兩者の協調作用を期待した。
即ち當科外來患者にて性器出血を主訴とし内診上器質的變化の認められず所謂機能性子宮出血と認められた患者にAndrogen中作用の強いと云われているTestosterone propionate 5mgに20分の1量0.25mgのEstradiol-benzoateを混合し,1ccの油溶液(混合ホと假稱す)としたものを試用したので少数例であるがその結果を述べる。
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