症例研究
機能性子宮出血の1治驗
久保 健太郞
1
1和歌山縣立醫科大學産婦人科
pp.873-876
発行日 1953年12月10日
Published Date 1953/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200950
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筆者は所謂機能性出血に對する治療法特にste—roidhormonを以つてする治療方式に充分なる理論的根據並びに臨床的治驗を有しないため,機能性出血につき総括的論説を行うことは出來ない。唯最近經驗せる數例の機能性出血について若干私見を記述したいと思う。
機能性出血に於ては,Alien, Hisaw, Gardn—er, Novakの見解の如く,腦下垂膿機能不全に基くEstrogen,Progesterone失調による子宮粘膜出血が見られ,此の考えは文献上或いは筆者の從來の研究からも妥當であると考えられる。即ち卵巣には殘存臚胞,子宮粘膜には細小血管特に螺旋血管の攣縮性收縮,血管壁及び間質の變性,壞死が見られる。思春期出血,更年期出血と稱せられるものは機能性出血の典型的なものにして,Schroederの所謂出血性メトロパチー或は其他の無排卵性出血は之に類し,大體臨床的意味に於て無排卵性,卵胞期性出血を示すものである。
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