原著
抗生物質,副腎皮質ホルモン,及び性ホルモンの末梢血像及び骨髄像に及ぼす影響に就て
石井 丈博
1
1東邦大學醫學部産婦人科教室
pp.531-535
発行日 1953年9月10日
Published Date 1953/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200892
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I.緒言
現在治療上必要缺くべからざる抗菌性物質の作用機序に對しては種々の學説があるが,その主體をなすものはむしろ病原體の發育阻止作用であるとされて居り,本教室に於てもこれ等藥劑の投與が白血球貧喰能の亢進を來し(河原1))又血清殺菌力の上昇を來す(柳澤2))という等の實驗發表がある。即ち抗菌性物質は生體防禦力を増強せしむるものと解する事が出來,近來各種ホルモン殊に副腎皮質ホルモンの此の方面に對する關心が著しく高められて來ている。
抑々血液像は造血器管殊に骨髄機能の反映である事は既にNaegeli3).Schilling4).吉峰5)等主張している所であるが,一方Barta6)は臨床上末梢血液像と骨髄像とは必ずしも一致するものではないと云い,血液所見は單に血球の新生並に破壞だけではなく,造血臓器よりの游出機轉の關與も一考すべきものとしている。
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