診療室
皮膚埋沒縫合法(續報)
矢內原 啓太郞
pp.351-352
発行日 1953年6月10日
Published Date 1953/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200855
- 有料閲覧
- 文献概要
皮膚埋沒縫合法は30餘年前本田操氏の創案による本邦獨特の技術として發表せられたもので,筆者も既に追試實驗例を報告したことがあつた。(産科と婦人科第6巻2號,同仁醫學第10巻3號)。その後術式に多少の考按を加え實驗も數百例に達したことであるが一般にはあまり實施されていないように見受けられるために,續報を試みた。近時米國では分娩時の會陰縫合には專ら埋沒法が行われている模樣で日本人の特技でもないらしい。
手術の本態から云えば手術創ことに腹部手術の創痕の美醜の如きは末葉のことであるが,人情から云つても更に目立たぬようにしたいことは患者にも術者にも望ましいことである。縫合糸や鈎の如きものを皮膚表面に殘したのではそれを除去する手數を要し患者にはその恐怖と多少の苦痛を與え,創痕も一條の細い線だけに止め難いが埋沒縫合では拔糸拔鈎の必要がなく創痕も目立たないしその上術後の經過を著しく短縮し,在院日數を少くする便利がある。
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.