産婦人科の動き
乳腺炎の治療
藤井 久四郞
1
1東京醫科齒科大學
pp.740-742
発行日 1952年12月10日
Published Date 1952/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200766
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産褥に屡々起る乳腺炎は以前から治療しにくい疾患の一つであつたが,サルフア劑や抗生物質が發見されてからは,やはり他の領域と同樣に,その治療が一變して外科的療法は過去のものになつたであろうか?近頃の歐米の數種の文献からうかがつてみることにしよう。
乳腺炎の病原菌は殆ど常に溶血性黄色ブドウ球菌であることは以前からいわれておるが,最近のVon Hans Muth (1950)の100例についての研究によると,溶血性黄色ブドウ球菌87%,白色ブドウ球菌4%,大腸菌4%,溶血性黄色ブドウ球菌と白色ブドウ球菌との混合1%,溶血性黄色ブドウ球菌と大腸菌との混合3%,白色ブドウ球菌と大腸菌との混合1%である。即ち混合感染の場合5%を加えると,溶血性黄色ブドウ球菌は實に92%を占めている。したがつて乳腺炎は一應サルフア劑やペニシリンの適應症である。
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