境界領域
上腹部疼痛と胆道内蛔虫症
川島 健吉
1
1東京醫科齒科大學醫學部
pp.736-737
発行日 1952年12月10日
Published Date 1952/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200764
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蛔虫症の多少はその邦の丈化並に衞生状態の一標準であるとさえ云われているが,我國では不幸食物の關係上早くから蛔虫が廣く蔓延している。殊に今次戰爭以來食料や驅虫劑の不足等のため,都會,田舍を問わずその罹患率が甚しく激増したので,最近では所謂外科的蛔虫症なるものが重要なる疾患の一つとして注目せられるに至つた。特に蛔虫の胆道内迷入により惹起せられる急性上腹部疼痛發作はその鑑別診斷上極めて大切である。更にこれに續發して發生する各種の合併症を考え合わすと極めて大きな問題である。
茲に胆道内蛔虫迷入症の臨床症状を述べるに際し,先づ最近發病時から精細にその經過を觀察し得た1症例について記載し,次いで本疾患に關する二,三の事項について考察を試みたい。
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