特集 避妊と不妊
不妊症の原因,診斷及び治療
卵管通過檢査法としての卵管通色素法Chromotubation
三谷 靖
1
1長崎大學
pp.591-593
発行日 1952年12月1日
Published Date 1952/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200729
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はしがき
女性不妊の原因は種々あり,最近更にこの方面の研究は進歩した。然し實地上本症の原因としては子宮附屬器の炎性疾患又は後遺症による卵管の通過障碍が主なる一因であごるとは云うまでもない。これは双手診で判ることもあるが判らぬことも少くない。從てどうしても卵管通過検査法を行わねばならない。所が不妊症の診斷に單に双手診のみで満足している婦人科醫が少なくなく,子宮後屈症や子宮發育不全症を不妊原因と見なす場合が多い。
元來癒着のない移動性子宮後屈は一般に考えられている程不妊原因とはならぬものであるし,又未妊子宮は經産子宮に比べて小さく觸れるものでこれを發育不全症と誤診されることが少くないから移動性子宮後屈や輕度の發育不全症を不妊原因として過大評價せぬ様にしなければならない。從て卵管通過検査法を行わすに後屈の矯正手術を行つたり,ホルモン療法をするのは若し卵管不通の時は全く的を外れた治療をしていることになり,無用に患者に肉體的精神的經濟的負擔をかけることになる。
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.