症例研究
術後急速に卵巣,頸部淋巴腺並に兩肺に轉移を來した子宮肉腫
山本 文男
1
1小野田市立病院産婦人科
pp.25-29
発行日 1952年1月10日
Published Date 1952/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200573
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緒言
子宮肉腫は古來甚だ稀有な疾患と言われている。その正確なる頻度は,全子宮腫瘍に就て,患部のみでなく健康と思われる部分をも含めたる子宮全體の連續切片の組織學的検査に依らない限り斷言する事は出來ないが,試みに比較的稀であると言われている子宮癌腫に比較たて見ると,略その頻度を推察する事が出來よう。即ち外來患者としての子宮癌の頻度は一般に3乃至4%と言われているが,Dixan & Deckerty, Evans, Kota & Ku—nfmann等の諸家の報告に依ると,子宮癌腫の約1/40と言われている。
併し,特殊な症例を除ては,子宮肉腫の肉眼的所見は甚だ筋腫に類似し,臨床的に直ちに肉腫と確診出來る症例は極めて少いため,之迄子宮肉腫にして,筋腫として誤られ處置された例もある事は想像に難くなく,Paul Hussy や牧野等も之等の例を報告している。
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