診療室
子宮頸部病變の表現用語に就いて
林 基之
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1東京大學醫學部産科婦人科教室
pp.470-471
発行日 1951年11月10日
Published Date 1951/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200553
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癌の早期發見の努力は,臨床醫と病理學者の協力に依り初めて價値を持つ。然し,臨床醫が病理學者に任せきりになることの不當なことは當然であるが,病理學者が,組織標本にのみ捉われ臨牀經過に對し無關心であることもよくない。
癌の組織標本を見て之を表現する場合,簡明に而も誰にも納得行くように記載し成る可くラテン系用語に依り世界共通のものとすべきだと思う。そして一語一概念に徹し,學者に依り,又は國に依り用語の定義が違うようでは困る。今日,比較的明確なのは,明かに誰が見ても,癌と思われ,只之を如何なる系統に入れるかに就いて議論がある位で,割に問題は少いが,癌とまぎらわしく,而も屡々見られる病變を如何に表現するかは,將來益々大切となり,文献を讀む上からも自ら表現するにも大切である。
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