症例研究
外陰に大血腫を形成せる重症性交裂傷例に就て
小川 安正
1
1順天堂醫科大學産婦人科學教室
pp.456-458
発行日 1951年11月10日
Published Date 1951/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200550
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はしがき
性交負傷に關しては,西歐に於ては,Neugeba—uer (1889)は既往文献150例に7例の自己治驗例Raum (1927)は109例に10例の治驗例,Wenzkowsky (1932)は,Neugebauer以後の212例に自己の53例を夫々加えて總括的報告をなしその他治驗例或は損傷成立に關する諸説等の報告があり,臼井(1940)によれば當時既に400例以上に達したという。
飜つて本邦に於ては,萩野,星(1920)の報告以來現在迄77例に達しているが,その間内原(1935)が32例,臼井(1940)が70例,花岡(1951)が77例に就て夫々自己治驗例を含めて總括的記述をしている。その他末報告に終つているものもあるであろうし必ずしも稀有とは言い得ないが,余は最近産婦に於ては珍らしい外陰(右側小陰脣)負傷によつて右側大陰脣皮下よの腟周圍組織に互る大血腫を形成し,而も出血多量のための一時重篤全身症状呈した1例に遭遇したので,その大要を報告する。
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