診療室
産褥子宮内反症に就て
長谷川 敏雄
1
1東京大學
pp.249-250
発行日 1951年6月10日
Published Date 1951/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200499
- 有料閲覧
- 文献概要
はしがき
産科の異常には成書には書いてあつてもそう屡々起るものではなく,從つて相當古い臨床家でも滅多に體驗出來ぬと云つたようなものが少くない。3萬回(Mc Cullagh)或は2萬回(Williams)の分娩に1回と云われる産褥子宮内反症などは正に其の1つであろう。筆者は嘗て妊娠6ヵ月で人工流産を行い,癒着胎盤を胎盤鉗子で牽引して本症を惹起せしめ,反轉説出した子宮を胎盤と誤認して此を其の基底部で切除し,ショックと大出血とのため危殆に瀕した例の處置を頼まれ,開腹して子宮の遺殘部を剔除し危く事無きを得たことがあるが,最近再び認むべき原因無くして起つたと思われる其の1例を經驗したので,以下臨床経過の概要を述べ,文献の一端をも引用して其の再認識に資したいと思う。
Copyright © 1951, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.