診療室
妊娠5,6,7ヵ月頃の新妊娠中絶法
橋爪 一男
1
1日大醫學部
pp.206-208
発行日 1950年5月10日
Published Date 1950/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200349
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第1案 臍帶結紮法
妊娠5,6,7ヵ月頃は一番人工中絶のやりにくい時期である.色々な缺點のあるアブレル氏法が近時異常な流行を見せているのも從來の諸法にあき足らない所が多いために他ならない.それは此の時期は子宮頸管を急速に開大して胎兒をはさみ出すには少々大き過ぎる.止むなく陣痛を催起せしめて自然分娩の經過を取らせるのであるが,何分にも時期が中途半端なので,各種の方法に抵抗して子宮は容易に反應してくれないのである.一番多く使われて來たブージー挿入法は時に非常によく効くこともあるが,反對に4,5日かかつてもサツパリ効いて來ないことも珍しくないのである.アブレル氏法は奏効は100%に近い代り,時に突如として患者の生命を危殆に頻せしむる場合があり,廣く一般に推擧するには尚多分に考慮の餘地があるものと思われる.
筆者はかねて從來の諸法に代る可き安全,確實な方法は無いものかと考えた末,臍帶結紮に依る兒の一次死亡に依り二次的に陣痛を誘發せしむる方法を考案,その詳細を記述して諸兄の御追試を希望する.
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