--------------------
子宮發育不全症に關する2・3の臨床的觀察
秦 良麿
1
,
本田 耕作
1
1九州大學醫學部産婦人科學教室
pp.10-13
発行日 1949年1月1日
Published Date 1949/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200157
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
日常の臨床においてわれわれが子宮發育不全症としてとりあつかう患者はかなりの數に上り,婦人科疾患中重要なものの1つである.本症は通常成熟婦人において子宮の發育が未だ尚いわゆる胎兒子宮,小兒子宮あるいは處女子宮の状態に止まつている場合を臨床上總稱しており,同時にほとんど常に卵巣卵管の發育ないし機能不全を伴はない性器發育不全症,あるいは發育不全體質の部分的症候である場合が多く,また不妊症ないし不育症の原因としても重視さるべき疾患であり,且つしばしば種々の月經障害や帶下その他の自覺症状を訴えて,その治療に骨が折れることが少なくない.本症の治療には向性腺ホルモン及び卵巣ホルモンを主體とした治療が行わるべきは言をまたないが,その用量,方式等に關しては諸家の間に各種各樣の見解があり,また一方本症の成因に關しても諸種複雜な因子が關與するものと考えられるから治療もまた個人化さるべく,そこに本症治療の困難があるわけであり,適切な診斷のもとに系統的なしかも通常長期にわたる治療が要求されるものである.
われわれは本症の實態を握把する一手段として先ず本癌の頻度その他以下のべる如き數項目について,昭和11年1月より同21年12月に至る滿11年間におけるわが教室外來患者を資料として觀察調査したので,その概要を報告してみたいとおもう(各項データの詳細なる表示は紙面の都合上省略した).
Copyright © 1949, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.