増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
婦人科編
III 更年期・老年期
冷え症
樋口 毅
1
1弘前大学大学院保健学研究科
pp.144-145
発行日 2014年4月20日
Published Date 2014/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103695
- 有料閲覧
- 文献概要
疾患の概要
外気温が下がれば冷えを感じる.これは生理現象であり,厚着をする,暖をとるなどで解決可能である.このようなことをしても冷えを感じ,日常生活に不都合を生じる状態,これが病的な冷え,「冷え症,または冷え性」といわれるものである.“通常の人が苦痛を感じない温度下において,腰背部,四肢末端,両下肢,偏身,あるいは全身的に異常な冷感を自覚し,この異常を年余にわたって持ち続けるもの”と定義される.西洋医学では疾患単位として扱われず,個人の感覚とされるのが一般的である.本症が,白人には少なく,アジア民族に多いというのも関連しているのかもしれない.
原因は,西洋医学的には手足の末端の毛細血管の血行障害,自律神経の調節障害と考えられる.冷え症と遺伝との関係もはっきりとしたものはないが,女性が冷え症の場合,その母親も約半数は冷え症であるという報告もあり,遺伝的要素は多少なりともあるかもしれない.女性全体の頻度としては30~50%で,男性の約3倍といわれている.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.