今月の臨床 母体と胎児の栄養学
妊娠中の栄養管理
7.妊娠糖尿病と胎児
伊東 宏晃
1
1浜松医科大学産婦人科学教室
pp.676-680
発行日 2011年5月10日
Published Date 2011/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102674
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はじめに
母体血中のブドウ糖は促進拡散により胎盤を通過して胎児に供給される.妊娠糖尿病(以下GDMと記載)における血糖値の病的な上昇は胎児血糖値の病的な上昇をもたらす.したがって,母体がGDMに罹患した場合における胎児の栄養環境の最大の特徴は妊娠中期以降に高血糖状態に曝されることである.一方,管理不良の糖尿病を合併した女性が妊娠した場合,妊娠初期の胎芽期より高血糖に曝される.したがって,いわば真性の糖尿病とGDMの場合では胎生期における高血糖被曝の時期や程度のパターンが異なり,自ずと短期的,長期的な予後が異なる可能性が考えられる.しかしながら,両者の差異は必ずしも十分に明らかとはなっていない.本稿では,GDMにおける胎児期,新生児期,さらには児の成長後における影響について概説する.
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