連載 Estrogen Series・91
Bioidentical hormonesとは?
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.67
発行日 2011年1月10日
Published Date 2011/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102550
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最近,米国ではBioidentical hormonesと呼ばれるホルモンが,新聞,テレビでかなり頻繁に広告されている.Bioidentical hormonesとは,生体内にあるホルモンと化学的に同一な構造のホルモン」という意味である.これに関して,最近のThe Medical Letter誌からご紹介したい1~3).これらは,主に大豆(その他の植物源)から生成された薬剤で,その化学的な構造は生体内のホルモンと実際に同一である.ただし,この製剤はFDAによる認可を得ていない.この製剤は薬品を混合して新製品をつくる製薬会社である“compounding pharmacy”に分類される会社によりつくられるが,これらの薬局はFDAの管轄下にはない.その成分を分析すると,力価にはばらつきが多く,測定してみると,ラベルに表示されているホルモン力価の67.5%~286.4%であった,との報告がある(2006年の調査結果).
Bioidentical hormoneの製剤に当たっては,患者個人の測定値にもとづいてその用量が決められる.Compounding pharmacyは,患者の唾液中のエストリオール(estriol)値を測定することにより,投薬量を決定する.ただし,唾液中のエストリオールが実際に血清中のホルモン濃度をどの程度反映し,相関するのか,に関する科学的証明はない.これに対して製薬薬局は唾液は血液を源とするものであるから,唾液中のホルモン濃度は血中の遊離ホルモン濃度を反映するのだ,と主張している.
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