今月の臨床 異所性妊娠
診断と治療の実際
8.副角妊娠
松岡 俊英
1
,
南 佐和子
1
1和歌山県立医科大学産婦人科
pp.1130-1133
発行日 2010年7月10日
Published Date 2010/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102433
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はじめに
副角子宮は片側のミュラー管の発育不全によって起こる子宮の形態異常である.副角妊娠は副角に妊卵が着床した状態であり,子宮外妊娠の1つとされる.妊娠経過中に副角が破裂し母体の生命も危ぶまれることにより早期の診断が必要である.
図1にアメリカ不妊学会のミュラー管奇形の分類を示す.発生過程において左側ミュラー管の発育が右側よりも先行するため副角となるのは右側が多いといわれている1).副角のうち単角子宮主角への交通のあるものを交通性,ないものを非交通性,および副角に内腔を認めないものに分類される.単角子宮の74%に副角を認め,非交通性が70~90%である.副角に子宮内膜を組織学的に認める場合も多くみられる.Fedeleら2)は副角子宮を光学顕微鏡および電子顕微鏡で組織学的に検討したところ,子宮内膜の低形成,内膜と筋層の境界部の異常,弓状動脈の異常が認められたと報告した.このため,月経周期における子宮内膜の剥離は十分ではなく子宮瘤血腫を呈する割合は低いと報告されている.また,子宮内膜の低形成のため妊娠時には穿通胎盤となることが多いとされている.
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