今月の臨床 産婦人科画像診断のセカンドチョイス
婦人科画像診断─どこまで可能か
9.チョコレート嚢胞の癌化の診断
高濱 潤子
1
,
吉川 公彦
1
,
小林 浩
2
1奈良県立医科大学放射線科
2奈良県立医科大学産婦人科
pp.1000-1003
発行日 2010年6月10日
Published Date 2010/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102411
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はじめに
卵巣子宮内膜症性嚢胞,いわゆるチョコレート嚢胞は生殖可能年齢層に多くみられる良性疾患であり,近年増加傾向にある.すべてが治療対象となる訳ではないため,正確な数字は不明であるが,生殖可能年齢層の5~10%の女性に生じるとされている1).小林らは,17年間におよぶ前方視的疫学調査により,子宮内膜症の0.72%から卵巣癌が発生することを報告し2),過去の報告とあわせると,卵巣チョコレート嚢胞の0.5~1.0%が卵巣癌に移行する可能性が示唆される.
卵巣チョコレート嚢胞の診断に,外来で行われる経腟,あるいは経腹超音波がスクリーニングや精査に重要な役割を果たしていることに疑問の余地はない.しかし,特に癌化が疑われるような症例,病変が大きく全体像が把握しづらい症例などでは,より客観的な診断モダリティとしてMRIは重要な役割を果たしている.本稿では,卵巣チョコレート嚢胞から生じた癌化の診断における画像診断のセカンドチョイスとしてMRIとCT,特にMRIを中心に概説する.
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