連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・53
急性妊娠性脂肪肝と思われた1例
田中 幹夫
1
1太田西ノ内病院産婦人科
pp.890-893
発行日 2010年5月10日
Published Date 2010/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102393
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症 例
■患者
39歳,1妊1産(自然分娩2,934 g)
■既往歴
特記すべきことなし.
■現病歴
2008年4月上旬,妊娠10週,分娩予定日を2008年10月下旬に決定した.その後,異常なく通院し,妊婦健診していた.児の発育も正常であった.妊娠33週まで,血圧正常,尿蛋白(-).妊娠35週ごろより,食欲不振,全身倦怠感,手足のむくみ,皮膚の黄色変化を目覚していたが,受診時に異常は指摘されず,経過をみていた(採血なし).
2008年10月中旬(妊娠37週5日),朝から性器出血があり受診.受診時,子宮口は全開大であった.人工破膜を実施すると羊水混濁(++)・児心拍の低下を認め,急速遂娩のため吸引分娩となった.児は2,360 g,男児,アプガースコア1/7点.呼吸障害があり,挿管・酸素投与のうえ当院NICUへ搬送となった.
母体は分娩後,血圧上昇(180/110 mmHg),血小板低下(5.3×104/μl)を認め,HELLP症候群を疑って当科へ母体搬送となった.
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