今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
II 不妊の治療 C人工授精
【精子凍結保存法】
67.精子凍結保存法の適応と実際について教えてください.
笠井 剛
1
,
平田 修司
1
,
星 和彦
1
1山梨大学医学部産婦人科
pp.545-547
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102056
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
[1]はじめに
ヒトの精子の凍結保存は,実験的には1776年1)にまでさかのぼるといわれているが,実際に臨床応用されたのは,凍結保護剤としてグリセロールが使われるようになった後で1953年のBunge and Sherman2)のAID(artificial insemination with donor sperm)による報告が最初である.本邦でも,1958年飯塚らにより,凍結保存精子によるAIDの成功例が報告されている3).以後,精子の凍結保存は,AIDにおいて精子の供給に用いられてきた.しかし,1990年代に入り補助生殖医療の進歩に伴い,重症乏精子症に対し,顕微授精を行うことを前提として,数少ない妊娠可能な精子を確実に保存するために精子の凍結が普及するようになった.さらに精巣生検などで得られた少数の貴重な精子を確実に保存する必要性が高まってきている.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.