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[1]はじめに
精液検査は,男性の妊孕能を評価するうえで必須の検査であり,結果によって治療方針が左右される重要な検査である(図1).このため,不妊を主訴とするカップルが受診した際には,原則スクリーニングとして全例に行われるべき検査である.従来,精液検査はWHOマニュアル1)に則って行われてきたが,検査の標準化・quality controlはほとんど行われていなかったため,検査結果に多様性を生じる状態となっていた.この問題に対応するため,日本泌尿器科学会監修の「精液検査標準化ガイドライン」2)が2003年7月に刊行された.ガイドラインに則った検査法の詳細は「精液検査標準化ガイドライン」を参照されたい.また,ガイドラインには精液検査の精度を上げるためにCD─ROMが添付されており,精子濃度測定トレーニング用画像,精子運動率測定トレーニング用映像が収められている.これを用い,測定誤差が大きくならないよう定期的にトレーニングしていくことが重要である.しかしながら,ガイドラインに則った検査法は,われわれ臨床医が診療中に行うには手技がやや煩雑であり,日常診療では簡便性,操作性で優れているMakler計算盤を用いた検査法が広く普及している.ただし,Makler計算盤を用いた精液検査では,以下の問題点が指摘されている.
(1)100×106/ml以上では測定が困難.
(2)ゴミなどが混入した場合,基盤とカバーグラスの間隙が広くなる可能性があり,測定値が不正確になる.
(3)長期の使用によりガラスの平面性の喪失をきたし,測定値が不正確になる.
このため,Makler計算盤はこれらの点を念頭に置きつつ使用すべきである.
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