症例
Placental mesenchymal dysplasiaの1症例
佐々木 紘子
1
,
森川 淳子
1
,
松岡 正造
1
,
小原 範之
1
,
伊藤 智雄
2
1神戸大学医学部産婦人科学講座
2神戸大学医学部病理部
pp.1375-1379
発行日 2008年10月10日
Published Date 2008/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101890
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Placental mesenchymal dysplasia(PMD)(胎盤間葉性異形性)は稀な疾患である.特徴的な画像所見として胎盤の腫大や胎盤内における多数の小嚢胞が挙げられるが,これらの所見は部分胞状奇胎や胎児共存奇胎と類似するために両者の鑑別を要する.PMDでは子宮内胎児発育遅延,子宮内胎児死亡および新生児Beckwith─Wiedemann症候群の発症が知られており,慎重な妊娠管理が要求される.本症例は妊娠15週に胎盤の嚢胞状陰影からPMDが疑われ,さらに妊娠31週に胎盤表面に走行する拡張・蛇行した血管が検出された.妊娠35週より羊水量の減少,児の体重や肺体積の増加不良,臍帯動脈RI上昇と中大脳動脈RIの軽度低下が認められたが,妊娠37週に健常な女児を分娩した.病理学的検査によりPMDとの診断を得た.PMDが疑われた場合は妊娠合併症の発症に注意しながら慎重に妊娠管理する必要があると考えられた.
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