今月の臨床 婦人科がん化学療法up to date
子宮頸癌
3. 術後補助療法としての化学療法の位置付け
渡部 洋
1
1近畿大学医学部産科婦人科学教室
pp.688-691
発行日 2008年5月10日
Published Date 2008/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101764
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はじめに
本邦の進行子宮頸癌治療は,広汎子宮全摘術が頸癌の標準手術として独自の進化を遂げてきたことから,欧米を中心とした諸外国と治療戦略と哲学が異なっている.特に初回治療における治療法の選択は明らかに異なっており,本邦では臨床進行期IIb期までに手術が適応されるのに対して,欧米では一般的にIb1期までが手術適応例と考えられている.したがって,本邦においては手術摘出組織の検討から判定されたハイリスク頸癌に対する術後補助療法の適用頻度は,欧米に比較して理論的に高いと考えられる.また,術後再発抑制を目的として行われる補助療法についても,原発臓器外進展は局所進行の病態ではなく全身病として捉えるべきであるとする概念が提唱されており,原発臓器外進展が認められるハイリスク例には基本的に全身的治療である補助化学療法が行われるべきであると考えられてきている.ただし,子宮頸部扁平上皮癌は化学療法高感受性腫瘍ではなく,初回治療におけるcisplatin(CDDP)併用化学放射線療法(CCRT)の有効性が米国NIHによって示されたことから,頸癌に対する化学療法単独による術後補助療法の有効性は不明であった.
そこで本稿においては現時点におけるハイリスク頸癌に対する術後補助化学療法の位置づけと今後の可能性について文献的考察を含めて解説したい.
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