今月の臨床 ここまできた分子標的治療
分子標的治療とは―抗がん剤とはどこが違うのか
曽根 三郎
1
,
富本 秀樹
1
,
兼松 貴則
1
,
柿内 聡司
1
1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部分子制御内科学・腫瘍内科学
pp.1218-1223
発行日 2007年10月10日
Published Date 2007/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101577
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はじめに
がんは遺伝的な要素もあるが,環境的な要因が働いて,10年,20年をかけてゆっくり増殖し遠隔臓器へと転移してくる慢性疾患として考えられる.診断時,微小がんの転移がすでに起こっているために多くは予後が悪い.したがって,進行癌に対する治療として,原発がんの制御だけでなく,がん転移機構に着目し,がん進展にかかわる分子を標的に制御する戦略ががん克服による長期生存期間の延長をはかるうえで非常に重要なアプローチとなっており,難治性腫瘍とされている慢性骨髄性白血病,乳がん,腎がん,大腸がん,肺がんなどで分子標的治療は大きな成果を上げている.最近の分子標的薬の臨床と今後の展開も含めて概説したい.
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