今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
II 内分泌
【更年期障害(ホルモン補充療法)】46.強度の不眠を伴った更年期障害の患者です.
井上 善仁
1
1福岡大学医学部産婦人科
pp.497-499
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101479
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1 診療の概説
睡眠はnon-rapid eye movement sleep(NREM睡眠)とrapid eye movement sleep(REM睡眠)に分けられる.NREM睡眠はさらに4期に分類され,1~2期は容易に覚醒する浅い睡眠であり,3期,4期は脳波上δ波と呼ばれるslow waveが認められる深い睡眠である.一方,REM睡眠は脳が活発に働き急速な眼球運動を伴うもので,夢をみている時期を指す.3,4期のNREM睡眠の長さが睡眠の質を規定するが,全体の睡眠時間に占める割合は加齢に伴って減少する 1).
睡眠障害は更年期から閉経後の女性に頻繁に認められる症状であり,欧米の報告では38%~55%の女性が睡眠障害を訴えるという 2, 3).特に卵巣摘出患者で最も頻度が高い 2).睡眠障害は全身倦怠,うつ傾向,不安・緊張などの原因となり,女性のQOLを著しく損なう原因となる.「寝付きが悪い」という入眠困難,「夜間に何度も目が醒める」という中途覚醒,「朝早く目が醒める」という早朝覚醒に大別される.Owensら 4)は,更年期女性では中途覚醒が最も多く,続いて早朝覚醒,入眠障害の順であると報告している.
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