今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
II 内分泌
【更年期障害(ホルモン補充療法)】45.更年期のうつ傾向が目立つ患者です.
井上 善仁
1
1福岡大学医学部産婦人科
pp.493-495
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101478
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1 診療の概説
うつ病性障害は気分障害の1つであり,うつ症状により強い心理的苦痛を感じたり,日常生活に障害を伴う場合に診断する.うつ病性障害はさらに中核的な大うつ病性障害,軽症の小うつ病性障害,軽症で慢性的なうつ症状が2年以上続いている気分変調性障害に分けられる 1).閉経前後に気分障害が増えることは事実であり,特に月経前症候群や産後うつ病などの既往がある例ではこの時期にうつ症状が再燃する危険性が高いと考えられている.さらに北米精神医学会の診断分類マニュアルであるDSM─IV─TRによれば,女性の大うつ病性障害の生涯有病率は男性の約2倍であり 2),いわゆる不定愁訴症候群である更年期障害でもうつ状態を伴う場合もあることなどを考え合わせると,産婦人科を受診するうつ症状を有する患者は今後増加傾向となることが予想される.
更年期のうつに関与する因子として次の2つが挙げられる.
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