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1 診療の概説
最近の初経発来は11歳前後に認められる.原発性無月経は「18歳になっても初経の発来を認めないもの(日本産科婦人科学会)」と定義されているが,実際には16歳で初経を認めない場合,無治療では18歳まで月経を認めない例がほとんどであり,本症例では原発性無月経に準じて検査を始めるべきであろう.特に遅発思春期「適正な年齢を過ぎても乳房発育(11歳),恥毛発育(13歳),初経発来(14歳)をみないもの」の状態を呈する場合は卵巣での性ステロイド産生がなく,原因検索の機会を逃してはならない.しかし,月経以外の第二次性徴が正常であれば生理的範囲内での初経の遅れの可能性も念頭に置く必要がある.
原発性無月経の原因には,表1に示すように染色体異常が最も多い.ほかに中枢障害,ミュラー管分化異常などがある.染色体異常のなかではターナー症候群が最も多く,精巣性女性化症候群が続く.いずれにしても,思春期年代であることも配慮して,肉体的/精神的に低侵襲な検査を夏休みなどの長期休暇の時期にスケジュールすることが望ましい.図1に診断の流れを示したが,十分な問診と第二次性徴の有無に加え,腟と子宮の確認が大切である.MRIによる画像診断が容易になりつつあり,性交経験がないと思われる場合には内診はできるだけ避けるべきである.次いで,染色体分析,黄体ホルモン剤投与による第一度無月経か第二度無月経かの診断,血中ホルモン基礎値(ゴナドトロピン,エストラジオール,プロラクチン,テストステロンなど)の測定を行う.必要に応じてGnRH,TRH負荷テスト,骨年齢および脂質代謝などの異常の有無のチェックを行う.診断と並行して親を交えたカウンセリングを行うことは重要なポイントである.
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