今月の臨床 思春期のヘルスケアとメンタルケア
思春期診療の実際とカウンセリング
8.痩せに伴う月経異常の診療
小辻 文和
1
,
田嶋 公久
1
,
折坂 誠
1
1福井医科大学産婦人科
pp.1187-1191
発行日 2003年9月10日
Published Date 2003/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100837
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はじめに
1世紀に書かれたソラノスのtextbookに,アスリートが無月経に陥ることが記されている.痩せが月経異常をもたらすことも,相当に古くから人々の間で知られていたと想像されるが,論文としての初めての記載は,16世紀にサイモン・ポルタによってなされた.その後,1868年にWilliam Gullが神経性食欲不振症の概念を発表して以来,人々の関心を呼ぶようになった.かつては,飢餓に特有の病態であったが,今日先進諸国では,美容を目的としたダイエットや,ストレスによる痩せが問題となっている.平成10年の日産婦学会の調査では,10代の女性が月経異常となる原因の大半が痩せであり,過激なスポーツと合わせると半数に上る1).本稿では内分泌動態や治療法は割愛し,この病態の診療のあり方について筆者らが思うところを紹介する.
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