臨床経験
産婦人科術後にみる臀部皮膚障害―術後臀部褥瘡
木下 俊彦
1
,
深谷 暁
1
,
矢野 ともね
1
,
伊藤 元博
1
1東邦大学医学部佐倉病院産科婦人科学教室
pp.1079-1081
発行日 2004年8月10日
Published Date 2004/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100594
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産婦人科術後に発生した臀部褥瘡について分析した.発生頻度は8.0%であった.褥瘡発生者と非発生者の間には年齢,体格などの背景には違いがなく,術式,手術適応疾患にも違いがみられなかった.
しかし,褥瘡を発生した例では術中・術後に硬膜外麻酔が使用されていたことから,硬膜外麻酔の使用が関与していることが示唆された.特に,術後の疼痛緩和に用いた硬膜外麻酔が,褥瘡発生の機序に関与しているのではないかと推察した.すなわち,硬膜外麻酔による知覚鈍麻,運動の抑制,血管拡張に仙骨や踵など体重のかかりやすい部分の皮膚への持続的な圧迫が加わり,血行のシャント,血流不全を生じることから褥瘡を発生させる可能性がある.術後の患者が仰臥位を長時間保った場合,臀部へは圧迫が加わるが,痛みを覚えなければ姿勢を保ち続けて圧迫を加えることになり,褥瘡発生を促す要因となったと考えられる.
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