今月の臨床 FGR─Fetal Growth Restriction
病態と臨床経過
臍帯因子によるFGR
宇津 正二
1
1聖隷三方原病院産婦人科
pp.1582-1585
発行日 2005年12月10日
Published Date 2005/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100449
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
子宮内での胎児養育環境を悪化させ,FGR(fetal growth restriction)を発症させる要因を図1に列挙したが,母体要因,胎児要因,胎盤要因については本誌の他稿に詳しく記述されているので,本稿では臍帯の異常に基づく臍帯要因が原因と考えられるFGRについてその病態と臨床経過について述べる.
臍帯の異常は表1に示すような,長さや太さの異常,位置や付着部の異常,巻絡や捻転,結節,炎症など多彩な臍帯異常があるが,これらの臍帯異常がすべて胎児異常を呈するわけではない.さらに,長さ,太さ,捻転,付着部異常など,どの異常も明確な定義はないが,結果的に娩出時の胎児異常の存在と臍帯の肉眼所見とから評価しているのが現状である.
子宮内胎児発育制限(FGR)からときには子宮内胎児死亡(IUFD)にまで至るような臍帯異常と臍帯血流障害,胎児循環障害発症のモデルとして,病的な臍帯過捻転例,臍帯の卵膜付着例について述べる.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.