連載 症例
降圧薬カンデサルタンシレキセチルで更年期症状の軽減を認めた2例
明石 真美
1
,
佐藤 孝明
1
,
加勢 宏明
1
1厚生連佐渡総合病院産婦人科
pp.675-678
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100314
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はじめに
更年期女性では,低エストロゲン状態により自律神経系が不安定となり多彩な愁訴を認め,同時に血圧の変動も激しい.多くは,ホルモン補充療法(以下,HRT)によりその治療を行っているが,子宮筋腫などのエストロゲン依存性疾患を合併している場合,その増悪が懸念される.また,更年期女性でHRTにより乳癌,虚血性心疾患,脳卒中,肺塞栓などの発症リスクがむしろ高くなることが米国の大規模試験により明らかにされ,有害性が有益性を上回ることが発表された1).その結果が日本女性に当てはまるか否かについては疑問の余地も残されているが2),HRTを行う場合には慎重に管理する必要がある.一方,持続性アンジオテンシンII受容体拮抗薬(以下,ARB)であるカンデサルタンシレキセチルは,降圧効果のほかに心拍数や交感神経系の反応性を低下させることが報告されているが3, 4),今までのところカンデサルタンシレキセチルを更年期障害の治療目的に使用した報告はない.
今回われわれは,子宮筋腫および高血圧症を合併した更年期障害患者において,カンデサルタンシレキセチルを投与し更年期症状の改善が認められた2例を経験したので報告する.
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