今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
2.妊娠合併症の治療と注意点
[血液・自己免疫疾患] 再生不良性貧血
伊原 由幸
1
1神戸市立中央市民病院産婦人科
pp.572-574
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100277
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1 診療の概要
再生不良性貧血は妊娠に合併することは稀であるが,重症である場合は母体の生命予後も悪くする重篤な疾患である.貧血,白血球減少,血小板減少という汎血球減少があり,骨髄穿刺で骨髄の低形成が証明されることで診断できる.表に重症度分類を示す.
伴性劣性遺伝するFanconi貧血のような先天性のものも一部あるが,ほとんどは後天性である.さらに,後天性のものは薬物,化学物質,感染,放射線などに続発するものもあるが,大部分は特発性である.特発性のものでは,造血幹細胞の質的異常や免疫学的機序による造血幹細胞の障害が骨髄低形成の原因と考えられている.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.