今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
2.妊娠合併症の治療と注意点
[循環器疾患] 心不全
根木 玲子
1
1国立循環器病センター周産期科
pp.508-509
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100253
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1 診断の概要
心疾患の診断は,可能であれば妊娠前からその病態が評価されていることが望ましいが,予期せず妊娠した,あるいは妊娠が判明してから心疾患の存在が明らかになった場合など,状況はさまざまである.いずれの場合においても,受診後できるだけ“早期”に診断と心機能の評価を行うことが重要である.心電図(病状に応じて負荷心電図,Holter心電図),胸部X線写真,また“専門医”による心エコーによりかなり正確な診断と心機能評価が可能である.
母体の,(1)低酸素血症の進行,(2)自覚症状の悪化,(3)心エコー所見の悪化,(4)うっ血性心不全徴候があれば,入院安静のうえジギタリス剤か利尿薬投与を行う.心不全が改善しなかったり,逆にこれらの治療により胎児仮死が進行するようなら,人工妊娠中絶,人工早産,急速遂娩が必要となる.
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