今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
1.日常的な突発疾患の治療と注意点
[耳・鼻疾患] 突発性難聴
松谷 幸子
1
1仙台赤十字病院耳鼻咽喉科
pp.411-413
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100215
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1 診療の概要
「突発性難聴」は突然に起きる原因不明の高度な感音難聴である.診断基準を表1に示す.「突発難聴」は症状名で,原因が明らかになった時点で,たとえば外リンパ瘻による突発難聴として「突発性難聴」からは除く.突発性難聴の病因は内耳のウイルス(ヘルペスの再活性,ムンプスなど)や内耳血流の循環不全,内耳の代謝障害などが考えられている.主訴は難聴であるが,耳閉塞感,音が響くなどの訴えもある.通常一側性であるが,約7%が両側性に発症する.約9割が耳鳴りを訴え,約3割でめまいを伴う.
急性高度感音難聴をきたす疾患としては頭部外傷,音響外傷,脳血管障害,髄膜炎,聴器毒薬剤,白血病などや心因性難聴があるが,妊婦で特に鑑別が必要な疾患を以下に挙げる.
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