今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
1.日常的な突発疾患の治療と注意点
[耳・鼻疾患] 花粉症
加藤 賢朗
1
1虎の門病院産婦人科
pp.415
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100216
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1 診療の概要
季節性の鼻アレルギーであり,反復性くしゃみ,水性鼻漏,鼻閉の3主徴に加え掻痒などの眼症状を併発する.原因はスギ花粉,ブタクサ,ヒノキなどの花粉である.遺伝的素因を有する場合,抗原の曝露によりIgE抗体が産生される.その結果,抗原に曝露されるとIgE抗体が結合した肥満細胞に吸着することにより,ヒスタミンなどのケミカルメディエイターが放出される.これらが三叉神経末端を刺激して,中枢性反応によりくしゃみ,水性鼻漏が生じる.鼻粘膜は腫脹し,水性鼻汁の貯留を認める.
鼻汁中の細胞診により好中球の浸潤を認める.原因抗原診断のためには,妊娠中は特異的IgE抗体検査が有用である.妊娠中はホルモン変化により体液貯留や鼻粘膜が過敏となるため,花粉症は増悪すると考えられている.
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