今月の臨床 女性診療科外来プラクティス
VIII 感染症外来
5. 膀胱炎と尿路感染症
中田 真木
1
1三井記念病院産婦人科
pp.649-653
発行日 2006年4月10日
Published Date 2006/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100115
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1 膀胱炎とは
膀胱炎の典型的な臨床像は,排尿時に疼痛や苦痛(dysuria)があり,排尿を終えても尿意が収まらず何度も排尿を繰り返し,排出した尿は細菌の増殖と多数の白血球の混入のために混濁し,粘膜面からの出血を混じてしばしば血尿となる急性炎症の経過である.膀胱炎は,性活動期から中高年層までの広い年齢層の女性に多数みられ,その大半で,外尿道口の開く腟前庭から膀胱へ入り込んで増殖したE.coli, Enterococcusなど,腸管由来の細菌が起炎菌となっている.
女性の尿道は長さが約4 cmと短く,蓄尿相には外尿道口から尿道内へ細菌が侵入しやすい.排尿の際には,尿道内腔は尿の流れによって洗い流され尿道内に入り込んだ細菌は再び押し戻される.腟と前庭部の清潔度の低下,脱水に伴う排尿量や排尿回数の減少,閉塞性排尿などがあると,排尿時に尿道内腔の洗い流し効果は不十分になり,膀胱炎を起こしやすくなる.
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