今月の臨床 妊婦と胎児の栄養管理
妊婦の体重管理
妊婦の体脂肪・体水分の動態
上田 康夫
1
1兵庫県立柏原病院産婦人科
pp.257-263
発行日 2006年3月10日
Published Date 2006/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100047
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はじめに
筆者が産科医になって最初に手にした教科書「産科学提要」1)には,妊婦体重に関して,「妊娠末期には非妊時の8~10 kg増しとなる.妊娠8か月以降,1週間に500 g以上の体重増加のあるものは水の異常貯留を考えねばならぬ.すなわち,妊娠中毒症の可能性がある」という簡潔な記載があり,これがこれまでの妊婦健診での体重評価の基本になってきた.実際に多くの産科医は母体体重増加を妊娠初~中期には太ること(体脂肪増加 : 肥満),後~末期にはむくみ(体水分増加 : 浮腫)の指標として巧妙に使い分けているものと思われる.また,われわれは「体重増加過剰と妊娠中毒症の関連性」をしばしば妊婦に指導するものの,その体重増加の成分を正確に把握しているわけではない.妊娠中毒症診断基準から浮腫が除外された現在も,やはり体重は妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)に関連しているのであろうか.
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