視座
医療福祉機器の標準化
加倉井 周一
1
1東京都補装具研究所
pp.917
発行日 1981年10月25日
Published Date 1981/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908635
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福祉機器の標準化というテーマに取組んだそもそもの動機は,義肢・装具の部品のネジのサイズの不統一などメーカーにより互換性のないことがユーザーにとつて大変不便であるという単純な発想からきたものである.標準化・規格化という言葉を耳にするとまず寸法規格が頭に浮かび,多様な障害者のニーズ,とくに身体的特性に対応できないのではないかという恐れが先立つ傾向にあつたことは否定できない.けれども国が支給する補装具の性能・耐久性・安全性・信頼性を高めようとする目的からすると,標準化を行う過程で機器または部品の品質・性能を見直すことにより材料の選択・製作工程・デザイン等についてよりよい製品への開発につながる数多くのヒントを与えてくれることを知つた.
整形外科の領域でも先人の努力によりさまざまなsurgical implantが用いられており,これらの器具がなければ今日の治療体系は考えられないといつてもよい.ところでわが国ではこれらimplantに対する法的規制について調べてみると,いわゆる薬事法で定義する医療用具(厚生大臣が指定するもの)は原則として日本工業規格(JIS)の適応を受けることになつているが,役所のなわばりもあつて現実には何ら対応がなされていないのが実状である.
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