症例検討会 骨・軟部腫瘍20例
〔症例12〕左脛骨腫瘍(Malignant fibrous histiocytoma)
須田 昭男
1
,
渡辺 好博
1
,
茨木 邦夫
1
,
寺嶋 一夫
2
,
今井 大
2
,
笠島 武
2
1山形大学整形外科
2山形大学第二病理
pp.512-515
発行日 1980年5月25日
Published Date 1980/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908609
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患者:49歳,男性 主訴は左下腿の疼痛および跛行.昭和53年7月左下腿を打撲して以来,歩行時の疼痛が続くため,某医を受診,X線写真で左脛骨の異常陰影を指摘され当科に紹介され,同年8月10日入院.入院時検査成績は,中等度の血沈亢進,RA陽性のほか異常が認められなかつた.単純X線写真で脛骨の中枢側骨幹端から骨幹部に石灰化を伴う多房性の骨透明巣がみられ,骨皮質の一部に破壊像がみられたため,悪性腫瘍が疑われた(第12-1図).しかし,骨透明巣の辺縁は硬化像を伴い比較的境界明瞭であるため,chondromyxoid fibroma,軟骨腫などの良性腫瘍も否定できなかつた.99mTcによる骨シンチグラフィーで腫瘍に一致して,hot regionがみられた.アンギオグラフィーでtumor stainとearlyvenous feedingがみられ,悪性腫瘍または血管系の腫瘍が疑われた.昭和53年8月15日左下腿の前内側部にみられた母指頭大の腫張部から生検を行つた結果,malignant hemangiopericytomaと診断された.アドリアマイシン,5Fuの持続動注後,膝上で切断した.発症約1年後の現在,転移もなく健在である.
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