症例検討会 骨・軟部腫瘍10例
症例10—多発性骨腫瘍
須田 昭男
1
,
渡辺 好博
1
,
高橋 信英
1
,
高橋 知香子
1
,
笠島 武
2
,
今井 大
2
1山形大学整形外科
2山形大学第2病理
pp.263-266
発行日 1982年3月25日
Published Date 1982/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906510
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患者:29歳,女性,主訴は左膝部痛.昭和44年12月,左大腿部痛のため某医を受診し,X線写真で多発性骨疾患および左大腿骨の病的骨折を指摘された.昭和45年5月と昭和46年11月の2回,某病院整形外科で左大腿骨病巣掻爬および骨移植(ヒト保存骨および自家骨)を受け,いずれの病理組織学的所見も軟骨腫と線維性骨異形成の2つの組織像がみられると報告されている.昭和50年11月右大腿部痛が出現し,右大腿骨病巣掻爬および骨移植(ヒト保存骨)を受け,Hand-Schuller-Christian病の病理診断を受けている.昭和54年10月左大腿部痛が出現し,同年11月当科に入院した.入院時検査成績はアルカリフォスファターゼ値が696国際単位と上昇している他は異常が認められなかった.単純X線写真で後頭骨,第6頸椎,骨盤,両大腿骨,両足指骨に多発性の異常陰影が認められ(図10-1a,b),左大腿骨の中枢側に石灰化を伴う骨透明巣がみられ,骨幹部に嚢腫様陰影がみられ,遠位骨幹端部から骨端部に至る広汎な骨吸収像と不規則な石灰化像がみられ,骨皮質の破壊と骨皮質外の腫瘍陰影もみられた(図10-2a).血管造影では,遠位骨幹端部の病巣部に悪性像がみられた(図10-2b).
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