症例検討会 骨・軟部腫瘍20例
〔症例7〕脊髄硬膜外腫瘍(Maligriant lymphoma)
富田 勝郎
1
,
野村 進
1
,
真鍋 昌平
1
,
島 巌
1
,
宗広 忠平
1
,
中村 孝
1
,
野村 忠雄
1
,
清水 俊治
1
,
山田 義夫
1
,
松原 藤継
2
1金沢大学整形外科
2金沢大学附属病院検査部病理
pp.496-500
発行日 1980年5月25日
Published Date 1980/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908604
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患者:26歳,男性.主訴:両下肢不全麻痺.
現病歴および現症,経過:昭和52年4月頃より腰痛を認め,53年4月よりparaparesisに陥り当科入院となつた.レ線像で第12胸椎右椎弓根部の骨破壊像を認めたので(第7-1図a),癌の転移の有無を検索したが見当らずmyelographyで第11胸椎レベル以下の完全ブロック像を認めたので(第7-1図b)椎弓切除術を行つた.腫瘍は第10胸椎から第3腰椎レベルの硬膜外後面を覆うように拡がり,第12胸椎右椎弓根を圧迫性に破壊しつつ傍脊柱筋群に浸潤するhour-glass shapeを呈しており完全切除は不可能であつた(第7-1図c).術後取り残し部位を中心に6,000radsのCo60照射,化学療法を行つた.術後1年3ヵ月の現在神経症状の改善なく病状の進展も認めない.臨床検査成績に異常なく原発巣も未だ見当らない.
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