カラーシリーズ 整形外科医のための免疫学・4
移植と腫瘍免疫—腫瘍免疫のモデルとしての移植免疫について
張 紹元
1
1帝京大学整形外科
pp.420-423
発行日 1979年5月25日
Published Date 1979/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908564
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
近年の移植手術の進歩は,外科領域に多大の進歩をもたらした.古くから行なわれている皮膚や骨移植に加えて,近年では腎移植やその他の臓器移植も,盛んに行なわれるようになってきた.
ところで,我々整形外科医は,誰でも知っていることであるが,皮膚移植を行なう場合,患者自身の皮膚は活着するが,一卵性双生児を除き,他人の皮膚は活着しない.このように自己の皮膚以外の皮膚が活着しないのは,移植した皮膚に対して,移植を受けた方(recipient)が免疫反応を起こすためである.即ち移植された皮膚(あるいは臓器)と,移植を受けたrecipientの間に,組成の異なるものがあると,recipientは当然この組成の異なる物質を非自己のものと認識し,この物質に対して免疫反応を起こす.この結果移植片が炎症を起こし,破壊されて脱落する.このように,その化学組成の違いによって,移植の際に抗原となって働き,recipientに免疫反応を引き起こす刺激を与えるものを,移植抗原または組織適合系抗原と呼び,このために生じる免疫反応を,移植免疫反応と呼んでいる.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.