診療の経験から
最近の臨床経験から—腎性クル病を中心として
天児 民和
1
,
真角 昭吾
1
1九大整形外科
pp.263-270
発行日 1966年6月25日
Published Date 1966/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908439
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今日の日常生活においてはビタミンD欠乏という状態は起り難いゆえ,実地診療上栄養性クル病に遭遇する機会が少なくなつたのは周知の通りである.しかし反面,他の原因によるクル病あるいは骨軟化症が目立つようになつたと思う.このことはクル病国といわれていた英国でもみられる現象である20).近年の相次ぐ研究によつてクル病性骨変化を起こしうる原疾患には多種多様のものが数えられ,その病因や分類が議論の対象となつている.とくに骨変化の発生原因については代謝障害との関連で種々の意見が出されているが難かしい問題を多く含み,いまだ確定的なものは見出だせない.
天児も新潟時代よりクル病に関心をもち1),現在も代謝性骨疾患に興味をよせているので,今回は腎性クル病をとりあげて私の考えを述べてみようと思う.
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