視座
Journal of Orthopaedic Scienceと国際交流
濱 弘道
1
1京都大学医療技術短期大学部
pp.117
発行日 1996年2月25日
Published Date 1996/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908408
- 有料閲覧
- 文献概要
昨秋,デューク大学の医局に日整会誌が無造作に置かれているのをみて,なんとも懐しく嬉しい気がしたものである.しかし,誰も読む人はないようだということであった.この医局に限らず,和雑誌については外国では,ほぼ似たような状況ではないかと思われる.折しも,この1月から日整会編集の英文誌Journal of OrthopaedicScienceが発刊された.
近年,わが国では学術商業雑誌が数多く刊行され,整形外科関係でもこの傾向が顕著である.この傾向それ自体,決して悪いことではないが,同じような内容の特集がときには同一の執筆者によってくり返し組まれることもあるように見受けられる.執筆者は貴重な時間を割いて寄稿しているわけであるが,このような短期間でのくり返しが果してどれだけ,学問の進歩に貢献し学界を裨益しうるものか,むしろ他の新しい研究のための時間的制約になってはいないかと危惧する,情報の取捨選択は受ける側の責任であるとはいえ,情報を提供する側にもそれなりの責任というものが当然あると思うし,ましてそれが外国でもほとんど読まれることがないとすれば,執筆者に結果として徒らに負担を強いることになるのではないかと思う.その点,オリジナリティの高い原著論文から成るJournal of Orthopaedic Scienceは学術上の真の国際交流を可能にしたと考えられる.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.