視座
病診連携と整形外科
大井 利夫
1
1上都賀総合病院・整形外科
pp.753
発行日 1994年7月25日
Published Date 1994/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908256
- 有料閲覧
- 文献概要
昭和61年8月に制度化された医療計画に従い,その後各都道府県2次医療圏ごとに地域保健医療計画が策定され,さらに平成4年には改正された医療法に基づき特定機能病院や療養型病床群が制定された.また本年4月より,かかりつけ医師機能が社会保険診療報酬上評価されるなど,医療提供機関の機能分化を明確化し,より効率的な医療制度の創成に向けて様々な施策が講じられてきている.それらはそれぞれの地域にて,診療所を中心とする一次医療から病院における二次三次医療までの包括的な医療システムを整備して,全ての国民に適正な医療を提供できるようにすることを目的としたものと言えるであろう.このような医療資源の量的整備と質的向上を図るためには,それぞれの医療提供機関,とくに診療所と病院との間の連携,すなわち病診連携が条件になることは言うまでもない.
さらに医療の質は制度や機関を整備するだけでは不十分で,医療に携わるもの,とくに医師の生涯にわたる研修も重要な条件となる.各学会で定めている認定医制度もその一つであるが,日本医師会で推進している生涯教育制度はさらに目的を明確にし,昭和60年12月日本医師会作成の生涯教育制度ガイドラインには「医師は知的専門職であり,その重く厳しい社会的使命のために,生涯にわたって学習に励む義務がある」とあり,そのためには病診連携による体験学習が柱になるとしている.すなわち機関も人もその質的向上には,病診連携が条件ということになる.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.