認定医講座
肩関節周囲炎
薄井 正道
1
1札幌医科大学整形外科
pp.1069-1076
発行日 1989年9月25日
Published Date 1989/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908187
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はじめに
肩関節周囲炎は1896年Duplay2)によって報告されたhumeroscapular periarthritisという疾患名の邦訳である.本疾患の原因は今日もなお不明であり,この点についてはのちに述べるように種々の見解が報告されている.一方,肩関節周囲炎に相当するわが国の疾患概念として「五十肩」がある.両者を同一のものとみなすべきか否かについても意見が一致していない.
筆者は肩関節周囲炎と「五十肩」は,肩関節の有痛性制動症であるが表1のような共通した特徴を有していると考えている.ここでいう肩関節周囲炎は,このような特徴を有する限りにおいて五十肩と同一疾患と考えられるが,まず肩関節周囲炎の概念の歴史的変遷および「五十肩」との関係についてのべることとする.次に本症の発生機転を理解する上で必要な機能解剖,診断,治療法の順に話しをすすめることにする.
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