症例検討会 骨・軟部腫瘍11例
症例3—右上腕軟部腫瘍
中島 伸夫
1
,
五島 岸子
1
,
築舘 一男
1
,
竹内 純
1
,
中村 隆昭
2
,
柴田 義盛
3
,
前田 秀明
4
,
鈴木 章八
4
,
長嶋 誠
4
,
下村 尚一
4
1名古屋大学検査部病理室
2名古屋市立大学中検病理
3海南病院整形外科
4海南病院内科
pp.268-270
発行日 1983年3月25日
Published Date 1983/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906700
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症例:83歳男性,19歳のとき列車事故のため左大腿切断をうける.家族歴には特記すべきものはない.
1981年6月初旬,右肘部皮下の腫瘤に気付き海南病院を受診する.6月下旬,腫瘤の部分切除をうけた.腫瘍は真皮深層を占め,大きさ2×2cmの結節状であった.8月5日,残りの腫瘍が全摘出された.5×4×3cmの軟部組織を占める灰白色髄様,境界明瞭,易出血性の腫瘍であった.組織学的には悪性リンパ腫が疑われた.11月初旬,橈骨神経麻痺をきたした.また同時期に再発した腫瘍を切除した.12月初旬,右上腕筋群を浸潤し右橈骨神経をとり囲む小児手拳大の再発腫瘍を切除した.12月下旬,右腋窩部の皮下あるいはリンパ節に再発した腫瘍に対して5回目の手術を行った.1982年1月初旬,右腋窩部の腫瘍は大人手拳大となり,1月下旬よりオンコビン2mg,エンドキサン500mg,プレドニン30mgを投与し,4クールにて腫瘍は消褪した.しかし4月中旬,右肘部および上腕の皮膚,皮下組織,右腋窩に腫瘍が再発し6回目の手術を行ったのち前回と同様の化学療法によって腫瘍は認められなくなった.
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