Japanese
English
臨床経験
ハリントン手術後に合併した上腸間膜動脈症候群の2例
Superior mesenteric artery syndrome following Harrington rod instrumentation
熊野 潔
1
,
杉山 正伸
2
,
中村 信也
2
,
土田 博和
2
,
樋上 駿
3
Kiyoshi KUMANO
1
1東京大学医学部整形外科学教室
2虎の門病院整形外科
3虎の門病院外科
1Department of Orthopacdic Surgery, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.820-827
発行日 1979年8月25日
Published Date 1979/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905974
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はじめに
上腸間膜動脈症候群は,十二指腸横走部が上腸間膜動脈(Superior mesenteric artery)または時にその分枝によつて前方より圧迫され,後部の脊柱または大動脈とにはさまれ完全または不完全に閉塞されることによつて起こる疾患3)であり,脊柱の前彎が強く,内臓下垂症を伴う無力体型の女性に多くみられることは良く知られている.1861年のvon Rokitansky16)の報告が最初のものとされているが,以来数多くの報告がある.腹部外科的には,この疾患は多くの場合慢性の十二指腸拡張症の一つとして取扱われている5).1950年Dorph7)は,大腿骨骨折のためのhip spicaの装着後に発症した.急性で死の帰転をとつた本疾患を報告し,Cast Syndromeと名づけた.以来整形外科的治療の合併症として注目されてきたが,近年側彎症手術の発達とともに、重大な術後合併症の1つとして報告されるようになつてきた5,6,10).その頻度は決して多くはないが,正しい診断と適切な処置を逸すると重篤に陥ることが強調されている.本邦での本疾患の報告は少ない12).われわれは最近2例の本疾患をハリントン手術後合併症として経験したので報告する.
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